現役コンサルタントが解説!論理的思考力の定義と必要とされる理由

2023-07-20

Pocket

こんにちは、爽です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

はじめにでも書いている通り、私は現在コンサルティングファームでコンサルタントをしています。
そのコンサルティングファームで働く中で、最も必須となってくるスキルのうち一つが論理的思考力です。

現代社会において、この論理的思考力はファームだけでなく事業会社でも、はたまた就活生でもより高いレベルで習得し、活用することが求められています。
このことは皆さんも日々の生活の中で感じてらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は現代人にとっては必須スキルと言っても過言ではない、論理的思考力の定義とそれが必要とされる理由について紹介していこうと思います!
なお、偉そうに書いていますが、実は私もコンサルティングファームに入社するまでは決して論理的な人間ではありませんでした。
しかし、論理的思考力が身についていないことで苦労もしてきたので、少しでも私のように苦労している方に読んでもらえればと考え、執筆するに至りました。

■この記事の対象読者
・論理的思考力がどういうものか知りたい方

なぜ論理的思考力が必要とされいるのか知りたい方

それではどうぞ!

論理的思考力とは

まず初めに、論理的思考力とはどのようなものでしょうか?
不意に聞かれると答えに窮すると思います。

私なりの言葉で表現すると、論理的思考力とは
「①物事の因果関係を構造的に捉えた上で、②結論を導く為の筋道を矛盾なく整理し、③その整理した結果を分かりやすく相手に伝達する能力」であると考えます。
言葉だけ見るとなんだか複雑そうな感じがしますが、例を挙げてみると分かりやすくなると思います。

論理的思考力の具体例

例えば「商品Aの売上が伸びないという問題を抱えており、その解決策を考えて結果を報告する」ことを例題として論理的思考力について深堀してみましょう。

論理的思考ができていない人の場合

まず、論理的思考ができていない人は、下図1のように物事の因果関係を構造化する前に解決策を並べてしまい、何の根拠もなくエイヤ!で解決策を選んでしまいがちです。
かつての私はこちらの部類でした。

■悪い思考方法の例

お分かりかと思いますが、この方法では原因を思考するプロセスを飛ばして、「値下げする」という解決策を導き出しているので、その手段が何故ベストかの根拠が自分でも曖昧です。
当然、自分でも選んだ根拠が曖昧な手段を相手に納得させるのは無理な話です。

■悪い伝達方法の例

図2

また、相手に自分の意見を伝えたい時も、図2のように

  • 論点が曖昧なので相手に話が伝わらない
  • 理由が理由になっていない(勘と経験と度胸→KKD)
  • 次のアクションが不明瞭

などの状況に陥りがちです。
このように論理的思考ができない人は、業務の遂行や人とのコミュニケーションなどの重要な局面で自分の価値を発揮できないばかりに、損をしてしまう場面が多々あるように思います。

論理的思考ができている人の場合

①物事の因果関係を構造的に捉える

②結論を導く為の筋道を矛盾なく整理

一方で論理的思考力が身に付いている人は、下図3のように問題を「①物事の因果関係を構造的に捉えた上で、②結論を導く為の筋道を矛盾なく整理」できます。

■良い思考方法の例

図3

ここでの①因果関係の構造化については、図2のようにまず考えられる原因を全て列挙し、その中で根本原因と考えられる原因に対して解決策の手段を更に列挙していくイメージでいいと思います。
構造化するときに意識することとしては列挙したものがMECEであるかどうかと仮説思考を持つことですが、これについては他の記事で説明します。

そして、構造化が終わったら②の結論の筋道の整理で前後関係に矛盾がないかを確認、整理します。
ここで重要なことは、根本原因と解決策の筋道に矛盾がないことを確認することと、選択した解決策を実行することによって本当に効果があるかの裏付けをとっておくことです。
図3の場合だと原因C1が根本原因として妥当である根拠と、解決策C3を実行することで本当に効果が出るかどうかを検証しておく必要があるということです。

③整理した結果を分かりやすく相手に伝達

そして、①と②が終わったら下図3のように伝えたいことをまとめた後に「③整理した結果を分かりやすく相手に伝達」します。

■良い伝達方法の例

図4

ここで意識することとしては、論点→結論→理由→次のアクションの順でピラミッド状にまとめることです。
この順番さえ守れば大体伝わる形で文章の土台を構成できると思います。
また、伝え方の文章としては以下のような感じになリます。

売上を伸ばす方法の伝え方

■論点

どのように商品Aの売上を伸ばすかですが、

■結論

動画サイトに当社の広告を出稿することで、これを解決することができると考えます。

■理由1

そもそも商品Aの売上が伸びていない根本的な原因は認知度が低いことが原因です。そこで、商品Aの認知度向上の為に購買層である若年層の認知度向上を図ります。

■理由2

他の広告の費用も比較検討しましたが、動画サイトへの広告出稿費用が1番安いことが分かりました。

■理由3

更に試算した結果、費用対効果も十分見込めることが分かりました。

■次のアクション

従って、来週中に私が試算した費用対効果が本当に正しいかを広告会社に確認する予定です。

一見すると簡単そうですが、実際のビジネスの現場では論点を述べずに話し出すので何について話しているか分からない話、結論がなかなか出てこない話、解決策を述べたところで次のアクションが明確でない話、などよく見聞きします。
ただ、そのような話し方はお互いにとって時間の無駄なので、話すときも論点→結論→理由→次のアクションの順番を意識しましょう。

ここまでのまとめ

さて、ここまでで論理的思考力というものを具体例を用いながら説明してきましたが、いかがでしょうか?
コツさえ掴めばなんとかなりそうですが、実際、日々直面する問題を論理的思考力を用いて解決することは簡単にできそうで、実は難しい場合が多いです。
その理由としては様々考えられますが、例えば時間的制約、情報不足、知識不足などの理由は致し方ない部分はあると思います。
ただ、そもそも論理的な思考をする為に使うツールやテクニックを知らないと問題解決の土俵にも立てません。

では、そもそも現代において、なぜ論理的思考力が必要とされるようになってきたのか、その理由を考察していきたいと思います。

論理的思考力が必要とされるようになった理由

論理的思考力が必要とされるようになった理由は大きく3つあると考えます。

論理的思考力が必要とされる理由

多様なバックグラウンドを持つ人と協働する為

バブル崩壊後、日本企業の競争力後退した為

ワークライフバランスが重視されるようになった為

理由①:多様なバックグラウンドを持つ人と協働する為

1点目の理由は、グローバル化の進展によって多様なバックグランドを持つ人と働く必要が出てきた為です。

特に2000年以降、各国の後押しとITの発展により、グローバル化が急速に進みました。
それによって、私たち日本人を含めた世界中の人は異なるバックグラウンドを持つ人と協働することを余儀なくされました。
そして、生まれた国が異なり、育ってきた文化が違う人たちが協働するための共通言語はエイト後論理です。
コミュニケーションの為には英語も必要ですが、多様な相手を納得させる為には論理が必要です。

理由②:バブル崩壊後、日本企業の競争力が後退した為

2点目の理由は、バブル崩壊後に日本企業が凋落した為です。

バブル崩壊前は、メイドインジャパンの製品は国際的に圧倒的な競争力を誇っていました。
当時は高品質な製品を定形的な作業で大量生産をすれば物が売れたので、一部の人が売れる仕組みだとか、サプライチェーンを考えていれば良かったのです。
ただ、バブル崩壊後はそのような日本式の経営が通用しない時代になってきたことが分かった為、日本企業は全ての従業員に主体的に考えて行動することを求めるようになっていきます。
こうした背景も論理的思考力が必須になった理由の一つです。

理由③:ワークライフバランスが重視されるようになった為

そして、ワークライフバランスが重視されるようになってきたことも大きいと思います。

バブル崩壊以前は残業することが美学みたいな風潮があったと聞いています。
ただ、現代ではそうした風潮は歓迎されず、従業員一人ひとりが仕事とプライベートを大事にする人が増えてきていますし、政府も企業もその動きを後押ししています。
ただ、根性だけあっても仕事を早く終えることができない為、その為のツールとして論理的思考力が必要になってきていると思います。

参考書籍

この記事の参考書籍は以下の2冊です。
どちらも論理的思考力とは何かについて、分かりやすく記載されているので良ければ参考にしてみてください。

まとめ

ということで、今回は論理的思考力の定義とそれが必要とされる理由を図も交えながら解説してみました。
何となく論理的思考力がどういうものかと、現代人にとって論理的思考力は必須スキルだということを理解していただければ幸いです。

そして、「じゃあ、実際どうやって論理的思考をすればいいの?」とか「どうやって身につければいいの?」とかもっと実践的な内容は以下の記事で紹介していますので参考にしてください。